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人に使ってもらうWebサービスをAIと企画する

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企画の基本 — 3行メモから企画書まで

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このテーマのゴール

「作りたいもの」からではなく「解ける課題」から始める 前講座ではサービスの中身が見えるようになりました。この講座では、自分の業務の「困った」を3行メモで構造化し、AIとの対話で企画書まで育てます。企画が固まれば、残りの工程(設計・実装)はAIが圧倒的に速く進められます。この講座も、頭とブラウザだけで進みます。

期待・実際・差分の3行メモで「なんとなく困った」を構造化します。課題の正体は差分 です。 完成形を持ってこず、対話で穴を埋めます。AIを聞き役 に回らせ、突っ込ませる質問の型を身につけます。 最初の版(v1)に何を入れ、何を捨てるかを決めます。完了条件は述語 で書き、「月末集計が30分」まで落とします。

🎯 この講座の「走る例」 — 備品申請、企画書を書き切る

前講座の観察ワークシートと3要素分解表を材料に、総務部の備品申請を「人に使ってもらえるサービス」として企画します。あなたは自分の業務課題で同じ手順を並走させてください。講座終了時点で、自分の課題の企画書が1枚 できていることがゴールです。

このテーマの流れ

P テーマ 身につけること P3〜4 課題の言語化と見積もり 3行メモ、頻度×手間×影響のスコアリング P5〜8 使ってもらう設計とAI対話 2者の「めんどう」分析、育てる3原則、聞き役モード、4ターンの実演 P9〜10 スコープと完了条件 v1のIN/OUT判断、述語で書く4枠、NG→OK書き換え P11〜12 企画書の完成とまとめ 5章構成テンプレート、最終チェックリスト

課題を言語化する — 3行メモ

企画の最初の一歩は「アイデアを考えること」ではなく、課題を書き下ろすこと です。曖昧な「困った」は、次の3つの箱に分けると急に扱えるようになります。

🎯 期待 — あるべき姿

業務がうまく回っている状態を、結果として 書く。「〜できる」の形にすると、後でそのまま完了条件になる。

📷 実際 — 今の姿

今起こっている事実を、数字付きで 書く。「半日かかる」「3つの届け先にバラバラ」のように。

⚡ 差分 — ギャップ

期待と実際を比べたとき生まれる開き。これが課題の正体で、サービスで解くべき対象です。

走る例 — 備品申請を3行メモにする

🎯 期待 申請者は誰でも1分で申請を出せて、総務は月末30分で発注リストを作れる 📷 実際 申請は紙・メール・口頭の3経路でバラバラ。総務は月末に半日かけて手集計 ⚡ 差分 届け先が不定・集計が手作業・何が動いたか実態が見えない、の3つ

備品の管理がいい感じになってほしい 実際: 申請が3経路に分かれ、月末集計に半日。期待: 1経路で集計30分 「いい感じ」は状態ではない。事実と数字を書くと課題が立つ

課題の正体は 「差分」 です。期待と実際を並べた瞬間に「何を解けばいいか」が見え、期待の文は後続の完了条件の原材料 になります。まず3行、書いてみることがすべての始まりです。

課題の大きさを見積もる

3行メモをいくつか書けたら、どれから解くか を決めます。判断材料は3つの軸。ラフな5段階評価で構いません。数字にしないと「全部重要」のまま進めなくなります。

🔁 頻度(1〜5)

週に何回 起きるか。毎日なら5、月末のみなら1〜2。頻度が高い課題は小さな改善でも総量が大きい。

⏱ 手間(1〜5)

1回あたり の時間と手順の多さ。半日の手集計なら5、数分の迷いなら1〜2。

📈 影響(1〜5)

誰に・どれだけ 広がるか。予算計画など次の判断に波及するなら高くつける。

走る例 — 3つの差分にスコアを付ける

差分(課題) 頻度 手間 影響 スコア 読み取れること 届け先が不定で申請者が迷う 5 2 2 20 毎日発生。迷いをなくすだけで価値 月末の集計が手作業で半日 2 5 3 30 1回が重い。自動化の効果が大きい 実態が見えず予算計画が立たない 3 3 5 45 次の判断に波及。データ化の価値

私の業務課題をリストします。それぞれについて頻度・手間・影響 を5段階で評価し、掛け算したスコア順に並べ替えてください。評価の根拠を1行ずつ添えて、私の想定と違う場合は指摘してください。課題リスト: 【①届け先が不定 ②月末集計が半日 ③実態が見えない】← 3行メモの差分を貼る

スコアの目的は 正確さではなく「順番を決めること」 です。AIの評価と自分の感覚がずれたら、それは「自分が見落としている軸」か「AIの勘違い」のどちらか。ずれを確認するだけでも企画の精度は上がります。上位の課題から、サービスの主目的に据えましょう。

人に使ってもらうとは — 2者の「めんどう」を数える

社内サービスが使われなくなる原因のほとんどは、「今までのやり方の方が楽」 だからです。企画では、関わる全員の「めんどう」を両側から数えます。備品申請には2者の登場人物がいます。

🙋 申請者(各部署の社員)

今のめんどう サービスでどう変わるか 誰に言えばいいか迷う フォームのURLを開くだけ。届け先は1つ 様式がバラバラで記載に迷う 項目が決まっているので埋めるだけ 頼んだ伝え忘れで不安 一覧に反映されたか自分でも確認できる

🗂 総務担当(あなた)

今のめんどう サービスでどう変わるか メール・口頭を拾い集めて転記 申請は自動で一覧に並ぶ。転記ゼロ 月末に半日かけて手集計 品目別・月別の合計は自動表示 処理済み・未処理が混在 状況で絞り込み、見落としを防ぐ

落とし穴 — 片方だけ楽にすると、しわ寄せが反対側に来る

設計 申請者 総務担当 自由記述のメモ欄だけにする ◎ 楽(書き放題) ✕ 集計不能 品名はプルダウン選択にする △ 1手間増える ◎ 集計が自動化 品名の選択肢を10個に絞る ◎ 迷わない ◎ 集計が安定

自由度はどこかで誰かの仕事 になる。両者の仕事量を並べて見ると、削るべき自由度が見えてきます。

⚖️ 判断の物差し

  1. 使う人の操作回数 は増やしていないか
  2. 待ち時間 は短くなっているか
  3. 片方の楽さが反対側の仕事 になっていないか

3つとも「はい」の設計だけが、使われ続ける サービスになります。

企画の問いは「何を作るか」ではなく 「誰の、どのめんどうを、いくつ減らすか」 です。2者の表を埋めた時点で、あなたの企画は「機能のリスト」ではなく「人の仕事の変化」として語れるようになっています。

AIと企画を育てる — 3原則と「聞き役モード」

企画の相談相手としてのAIの使い方で、一番の失敗は「企画書を書いてもらうこと」から始めることです。AIは即座にそれっぽい文書を出しますが、中身は空っぽになりがちです。正攻法は、AIを壁打ち相手 にして企画を育てること。3つの原則で進めます。

完成形を持ってこない

「備品申請システムの企画書を書いて」は厳禁。まず課題だけ を渡し、選択肢を出させて比較する。案はAIの、選択は自分の仕事。

「わからない」を隠さない

決めていないことは「決めていない」と書く。AIは穴を突く のが得意。曖昧さを隠すと、後の工程で必ず崩れます。

決めるのは自分

AIの答えは選択肢の1つ。業務の正しさを最後に判定できるのは、現場を知る人間だけです。根拠を聞いてから決める。

✕ 即答モード(回避)

「いい企画をください」→ それっぽい文書が即座に返る。根拠のない機能リスト になり、後で必ず作り直しに。

◯ 壁打ちモード(推奨)

質問だけ続けさせる → 自分の言葉で答えを積み上げる。残ったものが本物。対話ログはそのまま企画書の素材に。

企画の質は「AIが書いた文書の見た目」ではなく、AIに突っ込ませた結果、まだ残っている案 で決まります。次のページのプロンプト1通で、AIは根掘り葉掘り聞いてくる相手に変わります。

聞き役モード — AIに質問だけで回してもらう

壁打ちモードを1通のプロンプトで始める方法と、実際に飛んでくる質問の例を見ていきます。

あなたは企画の壁打ち相手です。これから業務の課題を説明します。読んだあと、①私が説明していない前提(例: 誰が承認するか)②運用で壊れそうな箇所考えられる別の解き方 を、質問形式で 指摘してください。私が「十分」と言うまで提案は出さず、質問のみ続けてください。\ 課題: 【3行メモを貼る: 期待・実際・差分】← ここを書き換え

壁打ちで実際に飛んでくる質問の例

AIが突く観点 典型的な質問(備品申請の場合) 承認と却下 「申請は誰が承認する決まりですか? 却下した場合、申請者にはどう連絡していますか?」 例外の扱い 「緊急の申請は今どう処理されていますか? フォーム外で起きたら記録に残りますか?」 運用の持続性 「総務担当が不在の月、集計は誰がやりますか? 属人化していませんか?」 既存の仕組み 「すでに使っている購入システムやメールの運用ルールとの、役割分担はどうなりますか?」

答えられない質問が返ってきたら — 3つの対処

📋 現場確認リストへ

事実を知っている人がいる質問(承認の決まり等)は、確認タスクとして控える。対話を止めずに次へ。

📝 「未定」と記録して先へ

まだ決められない質問は未定と書いて残す。隠すと後で崩れる。未定リストは設計前の宿題になる。

🤔 AIに選択肢を出させる

判断に迷う質問は、前提を3案比較 してもらう。比較を見てから決めるのが監督の仕事。

AIとの企画対話 — 走る例で4ターン

聞き役モードの実際の流れを、備品申請で追います。1ターン=「あなたの投入1回+AIの応答1回」。1ターン目の材料は前講座の観察ワークシート です。

聞き役モードのプロンプト+3行メモ(期待・実際・差分)を貼る 「承認は必要ですか?」「却下した場合、申請者への連絡は今どうしていますか?」— 質問が6つ返ってくる 「承認は総務の判断。却下したらメールで連絡している。記録は残っていない」 「却下理由が残らないなら、再申請のたびに最初から になりませんか? 理由の記録方法を3案比較しましょう」 「3案、運用手間と申請者の負荷も添えて比較して」 ①却下理由の自由記録 ②却下理由の選択式 ③却下時は対面で説明。表で比較 を提示される 「v1は②の選択式にする。理由は集計と再申請のバランス」 「了解。その前提でv1の範囲を整理します」と、対話の要点がまとめられた形 で返ってくる

💾 対話ログは捨てない

壁打ちの質問と回答は企画書の「なぜ」 そのもの。「なぜ選択式か」→「T3の比較で運用手間が最小だったから」。ログがあれば、上司への説明も明日の自分への説明もできます。

⏱ 1ターンの目安

投入3分+応答を読む5分ほど。4〜5ターンで骨格 が固まります。疲れたら日を跨いでもOK。

✅ 対話のゴール

AIを納得させることではなく、答えられない箇所を見つけること。答えられなかった質問リストが、次に現場確認すべきタスクです。

スコープを切る — v1に何を入れ、何を捨てるか

対話で企画が育ってきたら、次は切る 作業です。v1(最初の版)は「最小で価値が出る形」。全部盛りは、作る前からスケジュールを壊す最大の原因です。

IN — v1に入れる

  1. 申請フォーム(申請日・品名・個数・理由・希望日・状況の6項目)
  2. 申請一覧(新着順表示・状況による絞り込み)
  3. 集計表示(品目別個数・月別件数の自動算出)

完了条件に直結するもの だけを3つ。

OUT — v1に入れない

  1. 承認ワークフロー(多段階承認・却下理由の記録)
  2. ログインと権限管理
  3. 在庫・予約管理
  4. メール通知

運用で代替できるもの はv2以降へ。

入れる/入れないの判断基準

候補機能 INにする基準 OUTにする基準 申請フォーム 課題の核心。これが無いと始まらない — 申請一覧 転記ゼロの必須手段 — 集計表示 完了条件「30分」の直接的な道具 — 承認ワークフロー — 却下は運用で対応可能(対面+選択式理由)。入れると承認者・却下理由・再申請が絡み複雑化 ログイン権限 — 社内限定URLで運用開始できる。公開範囲の相談は公開フェーズで

⚠️ 落とし穴 — 承認フロー

「申請なら承認でしょ」と入れると一気に複雑化。運用で回るならv1では外す のが、小さなサービスの正解です。

📌 OUTは「やらない」ではない

OUTは*「v2以降でやる」* と明記。企画書に「やらないこと」を書くと、開発中の「これも入れよう」を止められる防御壁になります。

✅ 判断基準は1つ

「完了条件を達成できる最小の構成か」。備品申請ならフォーム・一覧・集計の3つで十分。足りないものは使い始めてから判断できます。

完了条件を述語で書く

「便利になる」「楽になる」は完了条件になりません。完了したかを誰でも判定できる文 に書き換えます。型は4枠 — 誰が・何を・どうすると・どうなる。

.at(0)

.at(1)

NG → OK — 曖昧語を述語に書き換える

集計が楽になる 総務担当が月末の発注リストを、品目別合計画面から30分以内で作れる 「楽」の程度を時間で判定可能に

申請しやすくなる 申請者がフォームの6項目を入力して送信すると、一覧に即時に反映される 「しやすい」を操作と結果で具体化

実態が見えるようになる 月別件数と品目別個数を、誰でもいつでも集計画面で確認できる 「見える」対象と手段を明示

🔍 曖昧語チェックの型

書いたらAIに渡して判定できない語 を探させる。「楽」「見える」「いい感じ」— 見つかったら4枠で書き直し。

📏 効果測定になる

「30分以内」は公開後に実際に測れる。完了条件がそのまま効果の証明になります。

✅ 両面のゴール

述語の完了条件は作る側のゴール であり使う側の効果の証明。曖昧な条件は「完成したと言えない」状態を生みます。

企画書を1枚にまとめる

ここまでの材料を、5章構成の1枚にまとめます。この1枚があれば、設計・実装の講座はこの通りに進むだけ になります。

項目 走る例での記入例 ① 解く課題(3行メモ) 期待: 申請1分・集計30分 / 実際: 3経路・手集計半日 / 差分: 届け先不定・手作業・実態不可視 ② ターゲットと変化 申請者: 迷いが消える / 総務: 転記ゼロ・集計自動。2者のめんどう表を添付 ③ v1の範囲(IN/OUT) IN: フォーム6項目・一覧・集計 / OUT: 承認フロー・ログイン・在庫・通知(v2以降) ④ 完了条件(述語) 総務担当が月末の発注リストを品目別合計から30分以内で作れる ほか2件 ⑤ 確かめ方 1ヶ月運用し、月末の所要時間を申請前後で比較して記録する

対話ログから仕上げる — 企画書化のプロンプト

以下は企画の壁打ちに使った対話ログです。この内容を、①解く課題(3行メモ)②ターゲットと変化 ③v1の範囲(IN/OUT)④完了条件(述語・4枠)⑤確かめ方 の5章構成の企画書にまとめてください。判定できない曖昧語が残っていたら、対応箇所を指摘 してください(勝手に埋めない)。対話ログ: 【T1〜T4の対話を貼る】

🧩 材料は既に揃っている

3行メモ(P3)・2者の表(P5)・対話ログ(P7)・IN/OUT(P8)・述語(P9)。新しい考えは不要。整理だけです。

🤖 AIの仕事と自分の仕事

構成化と曖昧語の指摘はAI。各章の正しさの最終判定 は自分。読んで「違う」と思う箇所は直す。

📤 この先の使い道

続編の設計ではこの企画書が仕様書の土台 に。上司への説明にも、この1枚で足りるはずです。

企画書の良し悪しはページ数ではなく、「これだけ見れば作れるか」 で決まります。5章それぞれに前のページの材料が1対1で対応している — これが「企画は思いつきではなく手順で作れる」ことの証明です。

まとめ

この講座で身につけたのは、課題から企画書までを1人で歩む手順 です。以下がすべて「はい」と言えるなら、あなたの企画は動き出せる状態にあります。

できるようになったこと 確かめ方 ☑ 「困った」を3行メモで構造化できる 自分の課題を期待・実際・差分で書き出す ☑ 課題にスコアを付け、順番を決められる 複数の課題を頻度×手間×影響で順位付けする ☑ 2者の「めんどう」を両側から数えられる 申請者と総務、双方の変化の表を埋める ☑ AIを聞き役にして企画を育てられる 壁打ちプロンプトで4ターン対話する ☑ 範囲と完了条件を決め、企画書にまとめられる OUTに時期があり、完了条件が4枠の述語で書けている

このテーマの核心 — 3つだけ

  • 課題の正体は差分。期待と実際を書き並べることが企画の始まり
  • AIは書かせず、突っ込ませる。残った案だけが本物
  • v1は最小で価値が出る形。OUTに「いつやるか」まで書く

この先 — この講座の続き(02〜05)

  1. 02 企画の説得 — 上司と関係部門の合意を取る
  2. 03 社内ルールとセキュリティ — 扱ってよいデータのラインを確認
  3. 04 走る例の完成版企画書 — 模範解答と突き合わせる
  4. 05 自分の課題で企画する演習 — あなたの企画を仕上げる

🏁 最終チェック — 企画書1枚を相手に

問い 合格の基準 ☑ 企画書を読んだ同僚に課題を説明できるか 3行メモの内容をそのまま話せば通じる ☑ v1を作り終えたか、どうやって証明するか言えるか 完了条件の4枠がそのまま測定方法になっている ☑ 作らない機能を、なぜ後回しにしたか説明できるか 対話ログに判断の根拠が残っている

3つとも「はい」なら、実装に入れる状態です。お疲れさまでした。

企画の説得 — 上司と関係部門を巻き込む

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このテーマのゴール

企画は、承認という関門を越えなければ1ミリも動かない どれほど良い企画書でも、上司の承認と関係部門の了解がなければ開発には入れません。このテーマで学ぶのは「熱意で押し切る説得」ではなく、相手の不安を1つずつ潰して味方に付ける型 です。準備が9割、口に立つのは1割です。

承認者は効果とリスク を見ています。「月末集計が半日→30分」を、費用ほぼゼロで説明できるようにします。 社内にシステムを増やすとき、確認されるのはデータと公開範囲。先に相談に行くことで壁ではなく協力者になります。 使う仲間が変わってくれないとサービスは動きません。変更の手間とメリット を先に伝えておきます。

🎯 走る例 — 総務部長に通す、備品申請サービス

あなたは完成した企画書を手持ちに、総務部長への5分説明に臨みます。そこで出るであろう「それ、情報シスは知ってる?」「費用は?」「現場は使うの?」を先回りして準備する — それがこのテーマの演習です。

このテーマの流れ

P テーマ 身につけること P3 3者の関心事マップ 上司・情報シス・現場、それぞれが確認したいこと P4 5分説明と稟議書の型 4部構成の説明、企画書の組み替え、AIで作る想定反論 P5〜6 実践の型とまとめ NG→OK、承認後の巻き込み方、チェックリスト

説得の相手は3者 — 関心事マップ

「説得」の正体は、相手ごとの関心事に答えを用意しておくこと です。3者の関心事と、準備すべき答えを1つの表にまとめます。

相手 関心事(本当の質問) 準備する答え(走る例) 👔 上司(承認者) 効果は? 費用は? リスクは? 失敗したら? 集計半日→30分。費用ゼロ(無料枠)。失敗しても現行の紙運用に戻るだけ 🖥 情報シス どんなデータ? どこで動く? 保守は誰が? 申請明細のみ(個人情報なし)。社内限定。作り手は総務(自分) 🙋 現場の利用者 操作は変わる? 今までのやり方は? フォームを開いて6項目埋めるだけ。メール探し・口頭より速い

5分説明の型 — 4部構成で話す

今どう動いているか。数字で。「月末集計に半日かかっています」 何を作るか。画面を3つ、絵で。「申請フォームと一覧と集計です」 どう変わるか。完了条件をそのまま。「集計が30分になります」 決めてほしいこと。「情報シスへの相談を進めてもいいですか」

⏱ なぜ5分なのか

承認者に長い時間は取れません。5分で課題→提案→効果→相談 を伝えられれば「詳しい資料を後で見る」状態になります。詳細は稟議書に任せて、口頭は骨格だけ。

🖼 話す順番の鉄則

課題から入る のが最重要。提案から入ると「で、何が問題なの?」と戻されます。相手がすでに課題を知っている場合も、共有の確認として1分は使います。

説得の準備とは、3者の関心事それぞれに、走る例の事実で答えを用意すること です。表の「準備する答え」の列が埋まったら、説明の8割は終わっています。

稟議書は企画書の組み替え — AIで想定反論を作る

正式に承認をもらう書面(稟議書・提案書)は、企画書の5章を「相手が読む順」に組み替えたもの です。新しく書くのは「費用」と「想定反論」だけ。

企画書5章 → 稟議書の組み替え

稟議書の章 元ネタ 1 背景と課題 企画書① 課題(3行メモ) 2 提案内容 企画書③ v1の範囲(IN/OUT) 3 効果と確かめ方 企画書④⑤ 完了条件・確かめ方 4 費用と体制 新規追加。無料枠・作業は自分、を明記 5 リスクと想定反論 新規追加。下の表で作る

読み手が気になる順 = 背景→何を→どうなる→いくら→大丈夫か。企画書の構成と似ていますが、効果を前に、詳細を後に します。

費用の書き方(走る例)

項目 内容 ソフトウェア 無料枠で構築(追加費用なし) 作業工数 設計〜公開まで自分が担当(業務内) 運用 総務の既存業務の一部として吸収 失敗時 現行の紙・メール運用に戻るのみ

費用ゼロ・自分が作る・戻れる の3点は、小さな社内サービスの最強のリスク対策です。

想定反論はAIに作らせる — 「悪魔の代弁者」プロンプト

あなたは懐疑的な情報システム部門の担当者 です。次の企画について、承認前に確認すべき懸念を反論の形式で 8つ挙げてください。セキュリティ・保守・運用・既存システムとの重複の観点を含めてください。各反論には、想定される私の答えも1行添えてください。企画: 【企画書を貼る】← ここを書き換え

想定反論(AI出力の例) 備える答え(走る例) 個人情報を入力しないのか? 申請は業務用備品のみ。名前は部署名までにする(04で詳細確認) 既存の購入システムと重複しない? 役割分担を1行で明記(申請の受付は新、発注は既存) 総務担当が異動したら? 手順書を残す。属人化しない画面設計にする(設計で対応)

想定反論のリストは、説明会で突っ込まれる前に自分で突っ込む ための道具です。8つの反論に答えを備えた時点で、あなたは会議で最も準備された人間になっています。

実践の型 — NG→OK と承認後の巻き込み

準備を口頭に載せ替えるときの、ありがちな失敗と直し方です。

AIなら何でも作れるので、ぜひやらせてください(手段先行) 月末集計に半日かかっているので、申請を1本化して集計を30分にしたいです(課題先行) まず課題。手段は課題の後で出す

絶対にうまくいきます(断定) 1ヶ月試して、集計時間が半分にならなければ元の運用に戻します(出口付き) 断定より「戻れる」が信頼を生む

承認を取ったら — 巻き込みの3ステップ

① 情報シスへ報告

承認後に先に報告に回る。「相談したいことがあります」と。後から見つかるより、先に言いに行く方が協力者が増えます。

② 現場の代表者を招待

各部署1名ずつ、最初の利用者 を決めてもらう。公開後のフィードバック窓口になり、改革の味方になります。

③ 最初の体験会を開く

公開前の体験会で最初の成功体験 を作る。「1分で申請できた」が各部署に伝われば、展開は一気に進みます。

説得は承認で終わりません。承認後の3ステップで、承認者をスポンサーに、情報シスを協力者に、現場を味方に 変えます。ここまで来て初めて、サービスは「作っていい」状態から「みんなが待っている」状態になります。

まとめ

このテーマで身につけたのは、企画を通すための準備の型 です。

できるようになったこと 確かめ方 ☑ 3者の関心事に答えを用意できる 関心事マップの「準備する答え」列が埋まる ☑ 5分説明が組み立てられる 課題1分→提案2分→効果1分→相談1分で話す ☑ 企画書を稟議書に組み替えられる 費用・リスクの2章を追加できる ☑ AIで想定反論を作れる 悪魔の代弁者プロンプトで8つの反論を列挙する ☑ 承認後に巻き込みを開始できる 報告・代表者・体験会の3ステップを予定に入れる

このテーマの核心 — 3つだけ

  • 説得は不安つぶし。3者の関心事に先回りして答える
  • 稟議書は企画書の組み替え。新しく書くのは費用とリスクだけ
  • 承認はゴールではなくスタート。巻き込みの3ステップまでが説得

次のテーマ — 社内ルールとセキュリティ

  • 情報シスへの相談内容を具体化します
  • 扱ってよいデータ・公開範囲のラインを確認します
  • 持ち物: 関心事マップと想定反論リストです

社内ルールとセキュリティ — 扱ってよいデータを確認する

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このテーマのゴール

作る前に、守るべきラインを知る — リスクの源泉はほぼ「データ」 個人で作る社内サービスが問題を起こす場所は、画面でもコードでもなく集めたデータ です。このテーマでは、扱うデータを3つに分類し、確認すべき社内ルールを点検して、企画書に1行だけ「ルールの確認結果」を足します。セキュリティ確認は拒否のためではなく、安心して進めるため の準備です。

集める項目を1つずつ「公開OK/社内限定/要相談」に振り分けます。要相談が1つでもあれば、情報シスへの相談が必要です。 社内規定・AI利用ガイドライン・公開範囲ポリシー。全部読む必要はなく、自分のケースに効く条項 だけ拾います(AIに探させます)。 チャットAIに貼る内容も社外への送信 です。渡してよい情報の判断基準を固定します。

🎯 走る例 — 備品申請の6項目、どこまで入れていい?

申請日・品名・個数・理由・希望日・状況の6項目。一見すると無害に見えますが、「理由」欄に申請者の名前や健康に関わる内容 を書く運用になると扱いが変わります。このテーマで、この6項目の分類を完走させます。

このテーマの流れ

P テーマ 身につけること P3 データの3分類 公開OK/社内限定/要相談の線引き、備品申請6項目の分類 P4〜5 ルール点検と公開範囲 確認チェックリスト、AIに入力してよい情報、公開範囲の選択肢 P6 まとめ 確認結果の企画書への反映、チェックリスト

データの3分類 — どこまで入れていいか

分類の基準は「漏れたときのダメージ」です。ダメージが大きいほど、より厳しい管理が必要になります。

🟢 公開OK

漏れても実害がないもの。品名・個数・申請日 などの業務記録。ただし「公開サービスに載せる」のはまた別の話 — ここでは「自分たちで扱う分には問題ない」の意味。

🟡 社内限定

社内に留めるべきもの。部署名・申請理由 など、業務の内情がわかるもの。社内限定のURLとアクセス管理で扱います(P5)。

🔴 要相談

自分で判断しないもの。個人を特定できる情報(氏名・連絡先)、健康・人事評価など敏感情報。情報シス・人事など管理部門に確認してから。

走る例 — 備品申請6項目を振り分ける

項目 分類 判断の理由 申請日 🟢 公開OK 業務記録。個人を特定しない 品名 🟢 公開OK 発注対象の事実。全社が知って良い 個数 🟢 公開OK 同上。数量の事実 希望日 🟢 公開OK 業務スケジュールの事実 理由 🟡 社内限定 書き方次第で内情が漏れる。「腰痛のためチェア交換」等は🟡扱い 状況 🟢 公開OK 処理の進捜。誰のものかは部署名までで管理

「理由」欄の運用ルールを決めましょう — 氏名を書かない・健康状態を書かない を申請画面の注記に固定します。項目そのものより、書かせ方 で分類が変わるのが🟡の厄介なところです。

分類の結果、🔴が1つもなければ 自分の判断で進められます。🔴がある、または迷う項目がある — そのときが情報シスへの相談タイミンです。「全部読んでから」ではなく、🔴が出たときに相談 が現実的な回し方です。

社内ルールの点検 — AIに条項を探させる

社内規定を全部読む必要はありません。自分のケース(社内限定・備品申請・無料枠で自作) に効く条項だけ拾えば十分です。

確認チェックリスト(4点)

確認すること どこで確認 1 AI利用ガイドライン(業務で使えるAI・入力禁止情報) 社内ポータル/情報シス 2 クラウド利用規定(外部サービスにデータを置けるか) 情報シス 3 個人情報取り扱い規定(🔴項目の管理方法) 人事・総務 4 社内システム新規登録の届出(要・不要) 情報シス

見つからない場合は「無い」ことを含めて情報シスに確認します。「規定が無かった」は免罪ではなく、確認した記録 が免罪になります。確認は4点だけでよく、記録を残すこと が個人開発を社内で続ける信用の土台です。

ChatGPT で規定を読むコツ

社内規定のPDFが手元にあるなら、Gemini Notebook(資料AI)に読み込ませて「備品の申請データを外部の無料サービスに置く場合、該当する条項は?」と聞くのが速いです。資料に基づいて答えるAI なら、根拠の提示を強制できます。

出てきた条項は要約を企画書に貼る(次のページ)。後で「あの条項どこ?」とならないための記録です。

AI(チャットAI)に入力してよい情報の判断

情報 チャットAIに貼る? 理由 3行メモ(課題の記述) ◯ 貼ってよい 事実の課題。個人が特定されない形に整えてから 企画書の下書き ◯ 貼ってよい 作りかけの文書。機微な内容を含めない 申請データの実物 ✕ 貼らない 社内の実データ。🟡🔴の分類に関わらず持ち出さない 社内規定の条文 △ 要確認 規定自体の機密度による。ガイドラインを先に確認

無料プランのチャットAIへの入力は、社外のサーバーへの送信 です。「AIに相談する」と軽く見えるぶん、うっかり機密を貼りがちです。実データはダミーに置き換えて 相談するのが安全な型です。

公開範囲の選択肢と、企画書への反映

「どこで動かすか」は、データの分類結果で決まります。備品申請(🟢🟡のみ)なら、社内限定の選択肢で十分です。

選択肢 できること 向いているケース 次の課題 共有ドライブのファイル Excelを置くだけ。今日から始まる 集計までで画面が要らない場合 同時編集の衝突 社内限定URL(無料ホスティング) フォーム・一覧・集計を持つWebサービス 備品申請など🟢🟡データ URLを知る人全員が開ける点の管理 ログイン付き(社内アカウント連携) 権限ごとの表示制御 🔴を含む・部署を超える展開 実装コストが跳ね上がる(v2以降)

📌 走る例の選択 — 社内限定URL

🟢🟡のみなのでログインは作らない(v1のOUTどおり)。URLはメールではなく社内チャットの特定チャンネルで共有し、「URLをむやみに転送しない」を運用ルールに明記します。

確認結果を、企画書に3行足す

以下を企画書の末尾に追記してください。事実だけを書き、解釈を足さない こと。\ ① データ分類: 【🟢4項目・🟡1項目(理由欄)・🔴なし】← 分類結果\ ② 確認済みルール: 【AI利用ガイドライン○条: 業務利用可 / クラウド規定: 社内限定データは可】← 条項\ ③ 公開方法: 【社内限定URL・社内チャットで共有・ログインなし(v2で検討)】← 選択肢

3行のサマリーがあるだけで、情報シスとの相談が*「これで大丈夫ですか」という具体的な質問* に変わります。抽象的な「何か問題ありますか」には答えられなくても、具体案には YES/NO と修正点で答えられます — 確認を速くするのも、具体化の効果 です。

まとめ

このテーマで身につけたのは、自分のケースで必要な確認を自分で切り出す力 です。

できるようになったこと 確かめ方 ☑ データを3分類に振り分けられる 備品申請6項目を🟢🟡🔴に分け、理由を言える ☑ 🔴が出たときの相談の仕方を知っている 分類結果を持って情報シスに行ける ☑ ルールの確認を4点で点検できる チェックリストの結果を記録として残せる ☑ AIに入力してよい情報を判断できる 実データをダミーに置き換えて相談できる ☑ 公開範囲を分類結果から選べる 走る例で「社内限定URL」の根拠を説明できる ☑ 確認サマリーを企画書に足せる 3行サマリーで情報シスに具体的に質問できる

このテーマの核心 — 3つだけ

  • リスクの源泉はデータ。分類してから設計する
  • 確認は4点・記録を残す。全部読まなくていい
  • AIへの入力も社外送信。実データはダミーで

次のテーマ — 走る例の完成版企画書

  • 説得とルール確認を経た完成版企画書 を通しで読みます
  • 自分の企画書との突き合わせ方を学びます
  • 持ち物: 自分の企画書と、3行の確認サマリーです

走る例の完成版企画書を読む — 模範解答との突き合わせ

PDF資料

このテーマのゴール

「書けた」を「書き切った」に変える — 模範解答との差分を見る このテーマは読みものです。備品申請の企画が、説得(02)とルール確認(03)を経てどう仕上がるかを完成版 で通し読みし、自分の企画書と突き合わせます。模範解答は「写すもの」ではなく、自分の企画の穴を見つける鏡 として使います。

①〜⑤+説得+セキュリティの全7パート を2ページで読み切ります。読みながら「自分のはここまで書けたか?」と印を付けます。 5つの観点で自分の企画と比べます。全部直す必要はありません。次のテーマ(05演習)で直す優先順位だけ決めます。 自分の企画書をAIに渡し、模範解答とのギャップ指摘 をしてもらうプロンプトを使います。

🎯 このテーマの「走る例」 — 備品申請・完成版

ここで読む完成版は、01で作った5章構成に、02の「費用とリスク」、03の「確認サマリー」を加えたものです。あなたがこの講座で進めてきた道筋の、ゴール時点の姿 でもあります。

このテーマの流れ

P テーマ 身につけること P3〜4 完成版企画書を通しで読む 7パートの全体像、各パートの書き込みレベル P5 自分の企画との突き合わせ 5観点のチェック、AI添削プロンプト P6 まとめ 直すべき箇所の優先順位の付け方

完成版企画書(前半)— 課題・ターゲット・範囲

左列が企画書の本文、右列がそのパートの合格ライン です。読みながら、自分の企画書に同じ内容があるか確認してください。

備品申請サービス企画書(v1)

① 解く課題

期待: 申請者は誰でも1分で申請を済ませられ、総務は月末30分で発注リストを作れる。/ 実際: 申請が紙・メール・口頭の3経路に分散し、月末の手集計に半日かかる。申請者は毎回届け先に迷う。/ 差分: ①届け先が不定 ②集計が手作業 ③実態が見えない — の3つ。

② ターゲットと変化

申請者(全社員): 届け先の迷いが消え、フォーム6項目の入力だけで申請が完了する。一覧に反映されたか自分で確認できる。/ 総務担当: メール・口頭の拾い集めと転記がゼロになり、月末の品目別・月別集計が自動表示される。処理済み・未処理の見落としがなくなる。

合格ライン

パート 確認すること ① 課題 期待・実際・差分の3行が数字付き で書けているか ② ターゲット 登場人物ごとに「めんどうがどう消えるか」が書けているか

課題の「半日」「30分」のような数字は、完了条件と効果測定を兼ねる。ここで数字を書けない場合、観察(前講座)に戻るのが正しい順番です。

③ v1の範囲(IN/OUT)

IN: 申請フォーム(申請日・品名・個数・理由・希望日・状況)/申請一覧(新着順・状況絞り込み)/集計表示(品目別個数・月別件数)。/ OUT(v2以降で検討): 承認ワークフロー(却下は運用で対応・理由は選択式で記録)/ログインと権限(社内限定URLで代替)/在庫管理/メール通知。

④ 完了条件(述語)

総務担当が月末の発注リストを、品目別合計画面から30分以内で作れる。/ 申請者がフォームの6項目を入力して送信すると、一覧に即時に反映される。/ 月別件数と品目別個数を、誰でもいつでも集計画面で確認できる。

⑤ 確かめ方

公開後1ヶ月運用し、月末リスト作成の所要時間を申請前後で比較・記録する。申請経路の分散(紙・メール・口頭)がゼロになったかを月末に確認する。

合格ライン

パート 確認すること ③ 範囲 INが完了条件から逆算 された3つに絞られ、OUTに「いつやるか」があるか ④ 完了条件 全て4枠の述語(誰が・何を・どうすると・どうなる)で判定可能か ⑤ 確かめ方 効果が測定可能 で、比較の基準(申請前)が書いてあるか

④の3文は、①の期待とほぼ同じ内容を述語にしたもの。課題→完了条件が一直線に繋がっているのが、良い企画書の特徴です。

完成版企画書(後半)— 説得とセキュリティ

01の5章に、02・03で作った2つのパートを加えたものが完成版です。

⑥ 費用と体制(02で追加)

ソフトウェアは無料枠のみ(追加費用なし)。設計〜公開・運用は総務(申請者本人)が業務内で担当。失敗時は現行の紙・メール運用へ戻るのみで、不可逆な変更はない。

⑦ リスクと確認記録(03で追加)

データ分類: 🟢4項目・🟡1項目(理由欄は氏名・健康状態を書かない運用ルールを画面注記で明示)・🔴なし。/ 確認済み: AI利用ガイドライン(業務利用可)・クラウド利用規定(社内限定データは可)・新規システム届出(情報シスへ開発着手前に報告済み)。/ 公開方法: 社内限定URLを社内チャットの特定チャンネルで共有。転載禁止を周知。ログインはv2で検討。/ 想定反論と回答: 情報シス向け8項目・上司向け3項目を別紙に準備済み。

合格ライン

パート 確認すること ⑥ 費用 費用・工数・失敗時の戻り方が3点とも 書けているか ⑦ リスク データ分類・確認記録・公開方法が事実として 書けているか

完成版の全体像

由来 ①〜⑤ 01 企画の基本 ⑥ 02 企画の説得 ⑦ 03 社内ルールとセキュリティ

この企画書が「1枚で足りる」理由

設計に渡せる

③のINがそのまま画面3枚の設計指示 になる。次講座(設計)はこれだけを読んで始められます。

上司に説明できる

①④⑥を上から読めば5分説明そのもの。稟議書への組み替えも機械的にできる。

効果を証明できる

④⑤がそのまま効果測定の計画表。公開後の報告もこの枠に数字を埋めるだけ。

完成版 = 5章(01)+2章(02・03)= 7パート。全部で1枚。企画書の「完成」とは、この先の工程(説得・設計・測定)の入力がすべて揃った状態 のことです。

自分の企画との突き合わせ

模範解答と比べて「書けていない」を見つけるための5観点です。全部直さなくてよく、優先順位だけ 決めます。

観点 問い 弱いときの直し方 数字 課題と完了条件に数字があるか 前講座の観察に戻り、時間・回数を計測する 両者 使う人2者の変化が両方書けたか どちらか欠けていたら「めんどう」表を作り直す 述語 完了条件が誰にも判定できる文か 「楽」「見える」を4枠で書き直す OUTの期限 やらないことに「いつやるか」があるか v2以降・検討中など、時期を1語足す 確認記録 費用・リスク・データ分類があるか 02・03の成果を③部構成で貼る

AIに添削させる — ギャップ指摘プロンプト

以下の2つの企画書を比較してください。1つ目は私の企画書、2つ目は模範解答の構成要件(7パート・各パートの合格ライン)です。私の企画書について、①欠けているパート数字・述語・期限が無い箇所 ③模範解答にはあるが私にない具体的な書き込み、を表で指摘してください。文章の修正案は不要で、指摘のみお願いします。\ 私の企画書: 【自分の企画書を貼る】← ここを書き換え

🎯 直す順番の付け方

①数字と述語(判定可能性)→ ②OUTの期限(スコープ防衛)→ ③両者の変化(使われやすさ)→ ④確認記録。上から直すほど、後の工程が楽になります。

💡 完璧を目指さない

模範解答と同じでなければならない わけではありません。業務が違えば正解も違います。観点で拾った穴のうち、自分の完了条件に関わるものだけ 直します。

突き合わせのゴールは、次の演習(05)で直す3つを選ぶこと です。「全部直す」は次テーマで潰れます。指摘リストから、完了条件に効く上位3つだけを次に持ち込みます。

まとめ

このテーマで身につけたのは、完成形を知って自分の企画を評価する目 です。

できるようになったこと 確かめ方 ☑ 完成版企画書7パートを説明できる 各パートがどのテーマの成果か言える ☑ 各パートの合格ラインを知っている 数字・両者・述語・期限・記録の5語が出る ☑ 自分の企画を5観点で評価できる ギャップ指摘プロンプトで指摘リストを作れた ☑ 直す項目の優先順位を付けられる 上位3つを選んで次テーマに持ち込める

このテーマの核心 — 3つだけ

  • 完成版 = 7パート1枚。説得とセキュリティまで含めて初めて完成
  • 模範解答は鏡。写すのではなく、穴を見つける道具
  • 直すのは上位3つ。完璧主義は次テーマの敵

次のテーマ — 自分の課題で企画する(演習)

  • ここまでの全手順をあなたの課題 で一気通貫で回します
  • 持ち物: 自分の企画書と、今テーマで選んだ上位3つの修正項目です

自分の課題で企画する — 演習

PDF資料

このテーマのゴール

備品申請ではなく、あなたの課題で1周する — 企画手順の「卒業演習」 ここまでの4つのテーマは、走る例(備品申請)を追いかけて進めてきました。最後のこのテーマは演習です。あなた自身の業務課題を選び、3行メモから企画書・説得準備・ルール確認まで を一気通貫で回します。迷ったら前のテーマに戻ってOK。必要なのは全部、もう持っています。

走る例の「読んで理解」から「書いて完成」へ。自分の業務の数字と事実 で埋めるからこそ身につきます。 3行メモ → スコアリング → 壁打ち → IN/OUT → 述語 → 1枚化。備品申請と同じ7ステップ をなぞるだけです。 課題選び15分+壁打ち30分+仕上げ30分ほど。1日で完成 させず、壁打ちまでやったら日を跨ぐ方が質が上がります。

演習の全体マップ — 4ステップ

観察メモから課題を1つ選び、3行メモとスコアリング(P3) 聞き役モードで4〜5ターン。対話ログを残す(P4) IN/OUTと完了条件(述語4枠)を書き切る(P5) 7パート構成に組み立て、説得と確認も仕上げる(P5〜6)

演習の合格条件はただ1つ — 「あなたの業務の課題の企画書1枚」が完成すること です。きれいな文書である必要はありません。数字と事実と述語が揃っていれば、それは次の講座(設計)に直結する入力になります。

STEP 1 — 課題を選ぶ、言語化する

前講座の「観察ワークシート」や日頃の「困った」から、解く課題を1つ 決めます。基準はスコアではなく「1ヶ月で v1 を作れる大きさか」です。

◯ 選ぶべき課題(例)

  • 議事録の共有がバラバラ → 共有ボックスと一覧
  • シフト希望の収集がメール災害 → 希望入力フォームと集計
  • 社内FAQへの回答コピペが重複 → 検索できるFAQページ

✕ 避けるべき課題(今は)

  • 承認者が3人以上絡む業務(v1が肥大化する)
  • 個人の給与・評価が絡むデータ(🔴に触れる)
  • 他部署の業務フローを変えるもの(説得が重くなる)

ワークシート A — 3行メモとスコアリング

(例: 週次で、希望者が5分で入力を終えられ、集計が自動で出る) (例: メールで希望を集め、担当が毎週60分かけて表にまとめている) (例: ①集計が手作業 ②集約先が不定 ③過去の希望が探せない) (例: ①4×4×3=48 ②5×2×2=20 ③2×3×4=24 → 主目的は①)

スコアが高い差分=サービスの主目的 です。v1のINは、この主目的を達成する最小構成に絞ります。ここで曖昧に残すと、STEP 3 で必ず範囲が膨らみます。

STEP 2 — AIと壁打ちする

聞き役モード(テーマ01のP7)のプロンプトをそのまま使います。4〜5ターン、対話ログを取りながら進めてください。

あなたは企画の壁打ち相手です。これから業務の課題を説明します。読んだあと、①私が説明していない前提運用で壊れそうな箇所考えられる別の解き方 を、質問形式で 指摘してください。私が「十分」と言うまで提案は出さず、質問のみ続けてください。\ 課題: 【ワークシートAの3行メモを貼る】← ここを書き換え

ワークシート B — 対話の記録

T あなたの投入 AIの質問と、あなたの答え(要約) T1 (3行メモを貼る) (例: 承認は必要? → 必要ない、希望の収集だけ) T2 (T1の質問に答える) (例: 締め切り後の変更は? → メールで受付、例外的に) T3 (T2の質問に答える) (例: 集計は誰がいつ見る? → 担当事務が金曜に) T4 (選択肢の比較を頼む) (例: 集計形式を3案比較 → 表で提示される) T5 (自分で決めて宣言) (例: v1は②の案で行く、と宣言)

答えられないとき

「未定」と記録して次へ。未定リストは設計前の宿題 になります。隠すと後で崩れます。

事実を知る人がいるとき

対話を止めて確認タスクに切り出す。AIとの対話は事実の補完にはならないので、混ぜない。

疲れたとき

T2〜T3で日を跨ぐのは推奨。寝かせると答えが浮かぶのは壁打ちも同じです。

対話が4ターンを過ぎて「もう質問ないです」となったら完成のサイン。ログを全てコピーして、STEP 3 に進みます。このログが企画書の「なぜ」の材料になります。

STEP 3〜4 — 範囲を決め、1枚にまとめる

対話で固まった内容を、IN/OUTと完了条件に落とし、7パート構成に組み立てます。まずは表の空欄を埋めるつもりで着手してください。

ワークシート C — v1の範囲と完了条件

IN(3つまで)

主目的(スコア最大の差分)を達成する最小の3つ。超えたらOUTへ。

OUT(やる時期を書く)

「v2で検討」「運用で代替」など、時期か方法 を1語添える。

(例: 担当者が、週の希望一覧を、集計画面から、10分以内で作れる) (例: 4週間運用し、集計時間を導入前後で比較して記録する)

STEP 4 — 対話ログを7パートに組み立てる

以下の材料を、①解く課題(3行メモ)②ターゲットと変化 ③v1の範囲(IN/OUT)④完了条件(述語)⑤確かめ方 ⑥費用と体制 ⑦リスクと確認記録 の7パート構成の企画書にまとめてください。判定できない曖昧語が残っていたら対応箇所を指摘だけ してください。\ 材料1(3行メモとスコア): 【ワークシートA】\ 材料2(対話ログ): 【ワークシートB】\ 材料3(範囲と完了条件): 【ワークシートC】

⑥⑦が埋まらない場合は、テーマ02・03に戻って関心事マップと確認チェックリスト を回してください。演習は行き来してよいのです。7パート全てが埋まったら、あなたの企画書の完成 です。

まとめ — 講座「AIと企画する」の総括

このテーマで演習を完走したあなたは、企画フェーズの全工程を1人で歩める状態になっています。

演習の合格条件 確認 ☑ 自分の課題の3行メモが数字付きで書けた ワークシートAの期待・実際に数字がある ☑ 壁打ちを4ターン以上やり切った ワークシートBのT4以降に記録がある ☑ INが3つに絞れ、OUTに時期がある ワークシートCの空欄が埋まっている ☑ 完了条件が述語の4枠で書けた 「誰が・何を・どうすると・どうなる」が揃っている ☑ 7パートの企画書1枚が完成した ①〜⑦の全パートに材料の出どころがある

この講座(全5テーマ)で得たもの

  • 01 企画の基本: 課題→企画書までの手順
  • 02 企画の説得: 不安つぶしと巻き込み
  • 03 社内ルール: データ分類と確認の記録
  • 04 完成版: 7パートの到達点
  • 05 演習: 自分の課題で1周 — 手順は自分のものになった

この先 — 次の講座(設計)へ

  • 完成した企画書を画面・データ・処理の定義 に翻訳します
  • 設計もAIとの対話で進めます(企画と同じ型です)
  • 持ち物: あなたの企画書1枚と対話ログ。これが全工程の入力です

この講座のよくある質問

このテーマのゴールとは?

「作りたいもの」からではなく「解ける課題」から始める前講座ではサービスの中身が見えるようになりました。

課題を言語化する — 3行メモとは?

企画の最初の一歩は「アイデアを考えること」ではなく、課題を書き下ろすこと です。

課題の大きさを見積もるとは?

3行メモをいくつか書けたら、どれから解くか を決めます。判断材料は3つの軸。ラフな5段階評価で構いません。

人に使ってもらうとは — 2者の「めんどう」を数えるとは?

社内サービスが使われなくなる原因のほとんどは、「今までのやり方の方が楽」 だからです。

無料登録すると、何ができるようになる?

講座の閲覧は今のまま登録なしでOK。登録(無料)すると、学習を 「積み上げて証明できる」ようになります。

できること今(未登録)無料登録後
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AIナビゲーター「愛脳ひらめ」と1 on 1で対話しながら学習
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このコースのカリキュラム

  1. 1Webサービスを作る上での前提知識
  2. 2人に使ってもらうWebサービスをAIと企画する(このページ)

学んだことを、
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  • AIナビゲーター「愛脳ひらめ」と対話しながら学べる
  • 教材に分からないところをそのままAIチャットで質問
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